モデリング: R+E - VisuArq   //   レンダリング: Justin Slick, Cadalog Inc.

  チュートリアル - 夕暮れ時のプールと中庭

このチュートリアルでは、発光マテリアル(LEM)と人工照明の組み合わせにHDRI背景を使用して、日暮れ時の屋内/屋外プールサイドシーンをレンダリングします。このイメージは、ProWalker GPUを使って作成されましたが、テクニックはSU Podiumでも同様に適用できます。

このチュートリアルは複数のセクションに分かれています。

  1. 処理内訳/概要
  2. モデル ダウンロード/設定
  3. マテリアル
  4. 人工照明
  5. HDRI照明
  6. ポストプロセッシング
  7. 単純なアニメーション

1. クイック手順内訳/概要

詳細な手順に進む前に、製作プロセスの内訳を紹介し、各ステップがどのように最終結果に貢献するかを示すこの短いビデオをご覧ください。

見て分かる通り、このイメージの作成には困難だったり、独特な手順はありません。HDR背景の付いたイメージベースの照明を使えば、必要な自然光をすべて調達できます。また、人工照明は、3つの光源のつり合いを図り丁度良いバランスを見つける、単純な試行錯誤のプロセスです。

2. モデル/設定

このチュートリアルの主な目的は、イメージを夕方や早朝の雰囲気で演出する際に、HDRI背景のエクステリア照明とインテリア照明装置とのバランスを取る実用的なテクニックをお見せすることです。日没や日の出近くの、このような屋内/屋外照明は、温かく居心地の良さそうな印象の視覚的インパクトを作り出すので、建築ビジュアライゼーションで非常によく見かけます。

このモデルは、R+E - VisuArqがデモ用に作成/配給しました。中庭のレイアウトに少しだけ編集を加えましたが、元の構造とほとんど変わりません。

まず最初にしたことは魅力的な構図を探すことでした。空やインテリア、エクステリアを比較的均等に表示する他、コントラストの高い焦点にするために部屋をカメラの正面に配置したいと思いました。上のイメージを正確に模倣したい場合は、提供.SKPファイルに入っているStarting Camという名前のシーンを使ってください。屋内家具と人工照明はすべて別々のSketchUpレイヤーに配置されてあり、必要に応じてオンオフを切り替えられます。

これがスタート点です。この段階ではモデルにはほとんど家具がありませんが、主なサーフェスにはすでにテクスチャが適用されています。Podium/ProWalkerマテリアルプロパティが付いたテクスチャはまだありませんが、後で適用するつもりです。

ベースのモデルには、イメージに残すことを決めたビリヤード台、裏窓に高品質カーテン、TV、コンソール、チューリップが入った花瓶、シャンデリア2つがすでに入っています。

残りの家具の仕上げは非常に単純です。モデルにあるその他の家具はすべてPodium Browserのもので、既製の家具セットを使用して処理をさらに簡単にしました。使用したマテリアル

Crimson Spire oak

Dining assembly 48

Modern Agave Plant

Outdoor Assembly 01

Zuo Modern Light

Styrax Japonica

Reggiana Mood

Living assembly 48

モデルにはすでにテクスチャが適用されていたのでマテリアルを探す必要はありませんでしたが、もちろんPodium Browserで似たようなオプションを選ぶこともできました。

これらのPodium Browserマテリアルはプールデッキやタイル、屋内フロア、草、石壁に簡単に代用できます。

3. Podiumのマテリアルプロパティをテクスチャに割り当て

Podium Browserでの作業を開始する前に、モデルにあるいくつかのテクスチャに依然マテリアルプロパティを割り当てなければなりません。Podiumマテリアルの設定にまだ慣れていない場合、似たような Podium Browserマテリアルを見つけ、自作のマテリアルに値をそのままコピーするのが簡単に学べる方法です。

このイメージのマテリアルを設定した手順

1. プールデッキ

プールデッキには、非常に微小でほとんど目立たないブラー反射がほしいと思いました。最終イメージではっきり表示される場所は、最も明るいインテリア照明が反射されるデッキの後ろ側だけです。

バンプ値は厚板間の隙間を強調します。

2. 屋内木材フロア

ここでの意図も同じです。微小なブラー反射ですが、家具の反射がかすかに分かるようにプールデッキよりわずかに強くします。反射を10に揚げ、バンプ値を1に下げました。

ブラー反射オプションのチェックを解除すると、木材の仕上げに光沢が付きます。これが望んでいたものでした。

Card image cap
カーテン

カーテンには透過を少しだけ加え、ブラー透過(半透明)をオンにする バンプなし

拡散 - 88
反射 - 0
透過 - 12
ブラー透過 - オン

Card image cap
石壁

非常に単純なマテリアルで、 適用したPodiumのプロパティはバンプ:7だけです。反射なし

拡散 - 100
反射 - 0
透過 - 0
バンプ - 7

Card image cap
ドアのガラス窓

実際にしたことは、透過を保守しながらガラスが周囲を反射するようにDRT値のつり合いを直しただけです。また、黒いドア枠に8%の反射を割り当てました。

拡散 - 3
反射 - 85
透過 - 12

Card image cap
水マテリアル

きわめて平静で、ガラスのような外観の水は意図的な選択でした。空の反射を強調したかったので、水の表面に波紋テクスチャをまったく使いませんでした。非常に微小な波紋パターンがあるとよりリアリスティックになるかもしれませんが、こちらの方が風のない夜の小さなプールの真実味があり、イメージの静かで穏やかなムードを強調すると思いました。

マテリアルは拡散5%ですが、青緑のサーフェス色(HSB値は上図の通り)を加えました。ただし、映された色のほとんどは、実際には水中の光の色です。これは下記で触れます。

マテリアルについては以上です。Podium BrowserのコンポーネントにはPodiumマテリアルプロパティですべて定義済みなので、残りの家具には、Podium Browserのコンポーネントを使用すると作業が大幅に楽になります。

4. 黄昏シーンには人工照明を設定

このシーンを照らす人工照明の光源は、屋内部屋近くのオーバーヘッドライト、プール水中ライト、部屋の奥に光を投じる3つの「非表示」発光マテリアルの3か所です。3つの人工光源とHDRIからの自然光とのバランスを取るのは、単に試行錯誤の作業です。最終的に、次の値で設定しました。

1. オーバーヘッド埋め込み照明 - LEM出力 30

ここでのもっとも簡単なオプションは、それぞれの埋め込み照明装置にある四角い面に発光マテリアルを割り当てることです。装置はすべて1つのマテリアルを共有するので、真ん中の面の色をピックしてPodiumマテリアルダイアログで出力を割り当てるのと同じくらい容易です。マテリアルがSketchUpコンポーネントではなく、ちゃんとSketchUpサーフェース上にペイントされていることを確認してください。

LEM面が小さいほど、放つ光は少なく、部屋を完全に照らすにはもっと強度を上げなくてはならない場合がよくあります。ここでは、30まで上げました。これを下の「オフカメラ」ライトパネルと照らし合わせると、出力2しか使っていませんが、サーフェスはずっと広いです。

2. オフカメラLEMパネル - LEM出力 2

カメラからもっとも遠い屋内部屋を照らすのに複数の大きな発光サーフェスを使用しました。これは型にはまった選択ですが、フォトグラファーがソフトボックスを使って特定シルエットを強調するような感じです。シャンデリアや吊り下げ照明装置に頼る方が技術的にはより「実物らしく」なりますが、このテクニックの方がよりイメージを魅力的にし、思った通りの外観になると思いました。

クリックして拡大

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このケースのLEMサーフェスは 出力:2 しか使用していません。前述したように、サーフェスが大きいほど、より多くの光を放つので、高く設定する必要はありません。これがLEMサーフェスが最終的にもたらした照明です(モデルにある他照明なしで表示)。

3. プール照明

プールは、青みが買った一列のポイントライトで照らす 元々これらはPodium Browserの照明装置の中に設定されていましたが、影パターンが好きではなかったので約2フィート壁から引き出しました。

プールの中央に動かすことで、最終レンダリング上のハードエッジシャドーが少なくなり、最終結果ではプールから放射されるソフトな青緑の雰囲気が増しました。

5. HDRI 背景を使った照明

自然光用に、HDRI背景を使用することにしました。イメージベースの照明は、背景タブにある「テクスチャ」オプションを選択して起動します。この段階では、様々な背景を試したり、満足のいくイメージになるまで照明スライダを調節します。イメージに夕方や日暮れのムードを取り入れたい思っていたので、Podium BrowserのHDRIをいくつかダウンロードしました。また、HDRI空も2つ試しました。

下記は、比較的高いサンプル数でレンダリングしても大丈夫なチョイスです - 照明設定はほぼそのまま使用しました。(クリックして拡大)

Afternoon 02

Afternoon 02

Bkg: Sunset 02

Syferfontein(HDRI Haven)

Kiera Dawn(HDRI Haven)

Sunrise 01(Podium Browser)

右下イメージは最終レンダリングに使用したものです。下の3つのイメージの照明はどれも気に入りましたが、結局のところ、空に少し雲の詳細を映したいと思いました。

ヒント —左下イメージと中下のイメージはサードパーティ(HDR Haven)のHDRI背景を使ってレンダリングしました。両方とも最初は予想より明るすぎたのですが、物理的な空の出力を0.1に下げました。0.2で非常に好ましい結果を得ました。

6. 処理前/処理後

ポストプロセッシングへのアプローチは人により大きく異なります。私のワークフローは非常に漸進的かつレイヤベースです。通常、一般的なレベルの調節から始め、初回のカラー修正に進みます。そこからは大抵、すでに実行したことをやり直したり、イメージを成功に導く、あるいは特定ムードに合わせるのに必要だと気付いた点を基にして、局部的なコントラストや色調整を加えます。

次の処理内訳では、未処理レンダリングから完成イメージまでを追ったプロセスと、各ステップで加えた調整をお見せします。

ポストプロセッシングにはPhotoshopを使用しましたが、同様の基本的な調整はPodium Image Editor でも実行できます。PodiumやProWalkerとは違い、 Podium Image Editorへの自動リンクをついていませんが、拡張機能メニューからPIEを手作業で開けます。拡張機能 > SU Podium V2.5 > ツール > Image Editor

ヒント - 中継点に達したら、(可能ならば)完成イメージを複数のスクリーンで表示し、イメージの輝度と彩度がそれぞれのディスプレイで正しく映されているかを確認してください。たとえば、携帯電話はラップトップのディスプレイより彩度が高い場合がしばしばあります。すべてのモニターでチェックするわけにはいきませんが、可能な限り複数のモニターで確認した方が良いでしょう。

7. 単純なアニメーションの設定

プロジェクトの仕上げに、シーン中をゆっくりと飛行するカメラを使って短いアニメーションをレンダリングしました。

この単純なアニメーションの設定は、カメラの開始位置と終了位置用のSketchUpシーンを作成後、ProWalkerにインポートするだけです。

次の3分間の処理内訳ビデオでは、上のアニメーションの設定/レンダリング方法をお見せします。

レンダリング時間 -人工光源が多いため、シーンのレンダリング時間が多少長くなります。終了基準をフレーム毎3分に設定しました。これで、7秒のビデオをレンダリングするのに約8.5時間掛かります。


以上です。読んでくださり、ありがとうございます。

この処理内訳が役立ち、空とインテリアのバランスの取れた照明を使って早朝や夕方、夜のレンダリングを作り出す方法のコツが掴めたことを願います。ご質問があれば、お知らせください。また、このチュートリアルに続く作品を作成されたなら、どうぞ ギャラリーフォーラムに投稿してください。楽しみにしています。